路傍亭@はてなブログ

備忘録とか記録とか

絵画を読む文法

少し古い話ですが、一昨年の、渋谷のロシアアバンギャルド展で展示されていたカジミール・マレーヴィチの「農夫、スーパーナチュラリズム」
http://www.shibukei.com/headline/photo/5348/
去年の春は埼玉で展示されてた様です。

この展覧会のポスターにも使用されているこの絵の解説に"「背景の上昇する線が」農夫の上昇する気持ちを表している"とあって、私はえっ?と思った。これは直感的に下降線だと思ってたから。

リンク先を見ればわかるとおり農夫の背景の農地は「右上がり、左下がり」の線である。私はこれを右から左に下降する線と見て取ったが、解説者は左から右に上昇する線と見て取っているのだ。そういえば西洋は文字が左から右だから絵画も左から右に読むのだろうか。

古い西洋絵画は「全ての絵が特定の象徴で書物を読むように辞書的に解釈する」という話を友人の画家から聞いたことがあって、その時期の絵画なら文字と同じく左から読み進めると文法だというのは納得できる。

例えば受胎告知は9割方、左から天使が来て右のマリアに告知している。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Annunciation?uselang=ja
(でもエルグレコの受胎告知は右から天使が来てるな。)
タロットも左が過去で右が未来だ。

また、日本は絵巻物の伝統か右から読むようになっていて、例えば風神雷神は、先の風神が右で後の雷神が左だ。

だけど現代のユニバーサル言語を目指すような絵の解釈にも、文化的背景に基づく暗黙の方向性のような文法って残ってるんでしょうかねい。教えてえらい人。