「本来は読む人のイマジネーションにゆだねられる文学作品の世界を、多様なかたちで視覚化します。」と題して、文学作品でインスタレーションをしている。
印象的だった作品は以下。
「然」 大橋陽山 チームラボ2007 (参考展示)
毛筆の筆跡が文字になり、そこから、イメージが産まれ展開する動画。「図」が文字となり意味を持ち、そこからまた「図」となる。イメージと意味の連続が面白い。
穂村弘「火よ、さわれるの」+石井陽子「情報を降らせるインターフェース」
掌をかざすと、そこに穂村の短歌がランダムに現われ、手を引くとテーブルの上に文字が落ち意味に合わせて変化する。例えば炎の文字は机上で燃えて燃えつきる。
文字で抽象化された穂村の体験を、掌ですくいとり再生/追体験する感じ。
「舞城小説粉吹雪」 舞城王太郎+こまバード・ブラザーズ(ペレス・ペラエス・マリアーノ+高橋浄久)
舞城の小説が壁一面に映写され、その文字が時間とともに散っていく。文章が模様に変化する様がなんだが美しい。
「タイプトレース道:舞城王太郎之巻」 舞城王太郎+dividual(遠藤拓己+ドミニクチェン+松山真也)
小説の作成の過程を、タイプライターの動きを合わせて再生する。カタカタ言うタイプライターと画面に生成される小説。文字の修正やあとから挿入される括弧や推敲を全てシュミレートする。そこに「小説家」が再生されている。
「谷崎リズム」 森野和馬
アイウエオの50音それぞれに別の音/音色を当て、その音で谷崎の小説を再生する。まだ完成度が低くてよく判らないが、文章を音(音声ですらない)に分解する試みは面白い。
全体に文学/文章/文字を、直感的に体験/追体験する面白い経験だった。
公式サイト→「文学の触覚」東京都写真美術館